「この映画、絶対におススメ!」と、友人からメールがあったのは、6月末のこと。だがわたしは、その情報を華麗にスルーした。彼女のホラー映画好きを知っていたからである。
人一倍臆病なので、日頃から怖い物には近づかないようにしている。勧められたゾンビ・サバイバル映画「カメラを止めるな!」にも、当然ピコピコと黄色いランプが点滅した。
ところが、そんなわたしの予防線に反して、映画の評判はとてつもなく良い。
最初は都内2館しかやっていなかったのに、上映館の数はあれよあれよという間に拡大し、今や全国で200カ所にも迫る勢い。
ありゃりゃ、出遅れた! と焦ったわたしも、先週、夜9時過ぎの都心のシネコンに滑り込むことに。
何と客席は、ほぼ満席。皆さん、恐怖シーンは大丈夫なんですか。夜のおトイレは平気ですか。と、ここに至っても往生際悪く、背中がソワソワしてしまう。
ホラー好きの友人は、怖い映画を見た後は、日常生活が少し愛しくなると語っていたが、それホントかしら? なぜって、今や日常こそが、むしろ恐怖の吹きだまりではないか。
などと、長~いゴタクを心の中で並べて、ドキドキをやり過ごしながら、ついに上映開始である。
さて、人が直近に見た映画の世界観は、しばしば、その人の行動を支配するという。
わたしもしばらくの間は、ビクビク怯える気持ちではなく、クスクス笑っちゃうような楽しい気分で生きていけそうである。つまり、ヤラレタ!ってこと。
こうして誰もが口コミを止められなくなる「カメラを止めるな!」は、ただ今、フォーラム福島と、ポレポレシネマズいわき小名浜でも絶賛上映中。
前者にゾンビメイクをして行くと、割引料金になるらしい。あなたには、そんな勇気がありますか?
=2018年8月24日掲載=