来日外国人を空港で捕まえてインタビューする人気番組がある。先日は、一人の米国人青年をキャッチ。彼は日本語ペラペラ。しりとりに超自信。番組は、彼の「しりとり勝負」に密着することになった。
ルールは(1)言葉は名詞だけ。(2)んが付いたり、同じ言葉の重複は負け。(3)5秒以内に答える。
30連勝を目標に掲げた彼は鼻息荒く、新宿の繁華街で日本人に声をかけていった。まあ、道場破りみたいなもんである。
彼が取ったのは「る攻め」。そう、日本人なら誰でも知ってる、語尾に「る」のつく言葉を連投する戦法だ。その結果、あたふたする日本人相手に16連勝。だが17戦目、頭の回転の速いOLさん相手に苦杯を舐めた。
2日後のリチャレンジは渋谷駅前。ここでも18連勝した彼だが、19戦目で相手の男性の「ぷ攻め」に混乱して自滅。「またリベンジしに来ます!」と宣言して、番組は終了。
この勝負を見て、改めて「る攻め」の攻撃力の強さにうならされた。
それもそのはず。日本語の起源か? とも言われるアルタイ語族(チュルク語族、モンゴル語族、ツングース語族など)にはそもそも「ら行」始まりの言葉がない。どうやら、寒冷なユーラシア大陸に住むアルタイ語族は、発音する時に凍える空気を吸い込んじゃう「ら行」を敬遠したらしいのだ。そんなわけで、外来語が増えた今の日本語でも、「る始まり」の言葉は極端に少ない。
「る攻め」には、以下で対抗したい。
ルビー、ルート、瑠璃色、留守、留守宅、留守番電話。ルーマニア、ルパン3世、ルイージ(マリオの弟)、ルワンダ、ルーレット、ルーツ、ルンバ、ルポ、ルクセンブルク、ルービックキューブ(六面立体パズル)……。
中でもルールは、「る攻め返し」もできて、最強の一手になる。
しりとり道場破り。もしかしたら、次の標的はあなたかもしれない。
=2024年9月13日掲載=