今月は、天体ショーがつづけて見られる星回りである。
五日と六日の夜は、「スーパームーン」と呼ばれる現象が、世界各地で観測された。国によっては、満月が通常よりなんと14%も大きく、30%も明るく見えたという。
わたしが滞在先の長野で見上げた月も、たしかに、いつもより存在感を増していた。
来週の月曜日、二十一日の朝は、その月が太陽の前を横切る「金環日食」が、国内では二十五年ぶりに見られる。福島県は、北側の観測限界線にあたるので「部分日食」になる市町村も多い。
天気に恵まれれば、人知を超えた力を確認できる、貴重なひとときになるだろう。
一方で、ことしは、インカ帝国の首都マチュ・ピチュが発見されてから百年ということで、話題になっている。
この街の住民は太陽と月を崇拝し、精緻(せいち)な天体観測をしていたという。また、作物の育ちにくい、標高二千メートル以上という高地に、急こう配のだんだん畑をつくり、ジャガイモやトウモロコシを育てていた。太陽の熱や光を余すところなくいただくためである。
しかし、宇宙の営みのなかでは、この太陽さえ、いつか消滅するときがくる。計算によると、五十億年後らしいが……。
惜しみなく降り注ぐ太陽のエネルギーを利用するのなら、いまのうちである。さあ、急げ!
七月から、再生可能エネルギーの買い取り制度が始まる。
=2012年5月17日掲載=