明治のチョコレート菓子「きのこの山」と「たけのこの里」は長い間、国民の中に「どっちが好き?」論争を巻き起こしてきた。
はじめて「きのこ・たけのこ総選挙」が実施されたのは2001年で、たけのこが勝利した。
その後、2018年から3年連続で同じような投票キャンペーンが行われたが、結果は順に、たけのこ、きのこ、たけのこの勝ち。
ところで、たけのこが勝利した2020年の投票で、全国47都道府県の中で福島県だけ、きのこがたけのこを上回ったことを、皆さんはご存じだろうか。
いや、別に知らなくていいことなのだけど、この結果を最近知ったわたしは、途端にうれしくなった。なぜなら、自分自身が断然きのこ派だから!
「きのこの山」は、チョコも、クラッカーも、どちらも歯ごたえがカリッとしていて、食感がいい。
傘の部分を先にかじって、チョコでコーティングされた口の中に、柄のクラッカーを散らす瞬間なんて、えも言われぬ味わいがある。
チョコとビスケットが一体化している「たけのこの里」と違って、チョコだけのパーツ、クラッカーだけのパーツがあるから、味に時間の旅がある。
それにしても、どうして福島県人だけ、このような味覚の違いをキャッチすることができるのか?
考えてみると、あの有名な福島銘菓にも、アンコと皮、2つのパーツがある。そうか、福島県人は、単なるミックスではなく、多様性と調和を愛するのだな。
それに、きのこといえば、松茸である。福島県人には、きのこから、そく高級な松茸を連想できる回路があるんじゃなかろうか?
と、わかったような、無理矢理のような……。
世の中には、もっと大事なことがあるよね?と言われたら、返す言葉もないのだけれど。
=2022年11月11日掲載=