先週の3連休の初日、年下の友人Mちゃんとカフェで待ち合わせをしていた。
場所は渋谷の公園通り。
せっかちなわたしは、10時半の約束だというのに、早々と10時過ぎにお店に着いてしまった。
連休とあって、注文カウンターにはすでに長い行列ができていた。
列に並んでスマホをいじる。Mちゃんに「もう着いちゃった」とメッセージを送ると、すぐさま「いま家を出ます」と返信が。
彼女の家は、渋谷からメトロで二つ目。自宅から小一時間かけてここまでやってきたわたしは、その距離感がちょっと羨ましい。
わたしの前には3~4組のカップルが並んでいて、カウンターで「何にする?」「君こそ何?」なんて会話を繰り広げていて、なかなか列は進まなかった。そんなわけで、わたしがいつものソイラテをゲットするまでにはそれなりの時間がかかった。
ようやく飲み物を手にし、テーブル席で息を吹きかけて冷ましていると、白シャツ姿のMちゃんが颯爽と店にのり込んできた。見ていると、長い行列を通り越して、受け取りカウンターに向かって突進していく。そして店員さんの前にスマホをグッと突きつけた。ほとんど水戸黄門のあのシーンそのまんま。どこからか「頭が高い!」という格さんの声が聞こえてきそう。
何ごとかと目を丸くしていると、さっさとカップを手にしたMちゃんがこちらにやってきた。「いま、何したの?」と訊くと、「モバイルオーダーよ」と、ニコッと笑った。「来る途中、スマホで注文しといたのよ」「ははぁ〜」。
注文カウンターの行列は、さっきよりも伸びている。列の最後尾は、店外の歩道にまでハミ出している。
そんなのあるんだ!現代の黄門さまに、わたしは「ははぁ~」と首(こうべ)を垂れるのみだった。
=2022年10月14日掲載=