先日、山手線のシートに座っていると、乗降ドアの前で騒いでいる4人グループがいた。たぶん大学生。
対面授業が始まったのだろう。昨年までのオンラインとは違う、友達と一緒の帰り道に、ついつい嬉しくなって、はしゃいじゃったのかな。4人そろって布マスクの端を両手でパカパカ前後に動かしながら、けたたましく笑い合っている。
乗客は皆、薄目でチラチラ。わたしも気になって横目で見ていると、そのなかのリーダー的な学生が着ている青いトレーナーの胸に、STAY FOOLISHという単語がフェルトで刺繍されていることに気がついた。
この言葉、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った、あの有名なスピーチに出てくるキーワード。直訳すると、「バカのままでいろ」。
今日の彼らにはぴったりのスローガン(合言葉)だったので、思わずハハァ〜と笑ってしまった。
さて、その翌朝のこと。わたしが朝ランしている遊歩道の終点には、警察署が作った「迷惑駐車はやめよう」というビニールの横断幕が掲げられているのだが、その前にちょこんと咲いているナガミヒナゲシを発見。
この花、実はタチの悪い帰化植物。周りの草花の成長を邪魔する毒をまき散らしながら、日本中にみるみる陣地を広げている厄介なやつである。
見かけはかわいいが、実はギャング的な存在なのである。そんな大迷惑な花と背景のスローガンがバッチリ合っているので、またしてもハハァ〜と半笑い。
せっかく春が来たのに、世の中は半端な笑いに満ちている。皮肉なスローガン、他にもたくさんありそうだ。
=2022年4月22日掲載=