4月に入って、ほっとしたドライバーの方も多いのではないだろうか。
年度末の3月は、相も変わらず、あちこちで地面を掘り返す道路工事のオンパレード。車を仕事の足にしているわたしも、うんざりする毎日を過ごしていた。
幹線道路の渋滞を回避しようと入った抜け道で、前の車が動かない。亀にも追い越されそうなノロノロ運転で進むうち、ようやく交通整理の旗までたどり着く。だが当然のようにハンドルを切らされ、迂回(うかい)路へ誘導されてしまう。何倍もの時間を掛けて目的地に着く頃には、もはや、あきらめの境地である。
だが、そんな3月のドライバーの上に、天使が舞い降りる瞬間がある。工事の看板に貼り付けられた「休工中」の3文字がそれだ。
「いろいろ言ってますが、今日は、ぜ〜んぶチャラ!」と言い切る3文字の存在は、年度末のカオスに投げ込まれたドライバーの目には、光輝いて見える。
わたしはふと、人間関係にも、似たような渋滞があるなぁと思った。うねうねと回り道を繰り返しながら目的地にたどり着いた頃にはもう、あきらめモード。
では、そんな渋滞した人間関係に、天使が舞い降りる瞬間はあるのだろうか。
お互い、いろいろ言いましたけど、ぜ~んぶチャラにしましょうや!的発言が、混乱した関係を修復する事は、実際、よくある。ひと事で言うと、「なんちゃって!」が、それに当たりそうな気もする。
反対に、ネットの世界では、1度書き込まれた悪口を消せない特性が、問題になっている。「休工中」や「なんちゃって」を持たないネットは、まだまだ、未熟なツールなんだろうな~。
進まない車の中で、つらつら、そんな事を考えた。
=2015年4月7日掲載=