今の時代、ダジャレは「おやじギャグ」と呼ばれて、若者から「さむい」「ダサい」と、うとまれている。ひょっとしたら、語呂合わせも同じ?わたしのような語呂合わせマニアには、気のもめる昨今である。
わたしが語呂合わせに目覚めたのは、18歳の頃。上京前に、母が仕送り用の貯金通帳を作ってくれた。口座番号は、……88407611(……母、塩なめろ。いまひとつ!)。母は送金するたび、わたしの語呂合わせに泣けたそうである。
手応えを感じたわたしは、その後も、次々に語呂合わせに挑戦。会社の電話、会員ナンバー、社員証……。そして、最新のヒット作は、噂のマイナンバー。個人情報的観点から全部書けないのが残念だが、……42396181……(……代々木に、ざくろいっぱい……)。色が浮かんでくる語呂合わせはけっこう珍しいのだ。と、自画自賛。
そんな中、ずっと避けてきたのが、自分の携帯番号だ。仕事先の人にうっかり語呂で伝えてしまうのはマズイだろうと、あえて数字のまま覚えた。だが数年前、ふと魔がさして何気なく語呂合わせをすると、……744274……(……梨よ、ふなっしー……)となって、腰が抜けた。
わたしが初めて携帯を手にしたのは1993年、当時表参道の交差点にあったKDDIショップである。以来、番号は一度も変えていない。一方、ご当地キャラのふなっしーが地上に降臨したのは2012年。つまり、20年も前からわたしの携帯番号は、やがて推すことになるふなっしーの誕生を予言していたわけである。稀代の予言者かっ!
語呂合わせとは、無機質な数字の羅列を、人知を尽くしてドラマチックな物語に変えていく作業だ。そこにはスペクタクルな変身マジックにも似た驚きと、言霊の力が隠れている。
2023(匂う兄さん)年も、あとわずか。みなさん、穏やかな年末を。
=2023年12月22日掲載=