先月6日、アメリカでスマホゲーム、ポケモンGOがリリースされた。その後、セントラルパークやフロリダの大学の構内をウキウキと歩く人々の映像が、繰り返しメディアに登場した。
次いで、歩きスマホによるケガ、強盗、水生ポケモンを探していた10代の女性が死体を発見するなど、怖い話も次々に伝わってきた。
一体どんなゲームなの?高まる期待。そして、ここ日本でも15日に配信されるという、根拠のない噂が巷(ちまた)を飛び交う…。
結局、実際の配信はその1週間後。待ちかねていたわたしも、早速ダウンロード。その日の午後は、新宿や渋谷の人混みを、スマホをかざしながら移動してみた。ふ〜ん、アメリカ人が夢中になっていたのは、こういうことかと、追体験しながら、現実とAR(拡張現実)のはざまを、さまよう。
夕方、渋谷の地下道で衝突した相手が友人だったことにも驚いたが、夜の11時過ぎ、自宅近くの公園に数人がたむろしている様子に、もっと驚いた。遠くからでも、スマホの液晶画面がチラチラ点灯しているのがよく見えた。
その場に存在しないポケモンが、スマホをかざした世界においては、存在している。虚でも実でもないゲーム空間は、まさに異次元。
だが、この先、ポケモン同士をジムで戦わせなければならないらしいのが、どうにも可哀想で気乗りがしない。それに、今こそ面白がって野外を歩き回っているが、この暑さだ。誰もが、やっぱり家でダラダラとプレイするゲームの方がいい!とか、思ってしまいそうな心配もある。
日本配信から10日。日本にゆかりの深いポケモンGOは、老いも若きも世の憂さを忘れて楽しめる素敵なゲームであってほしい!と、皆がそっと祈るような思いで、プレイを続けている。
…そんな気配がする。
=2016年8月2日掲載=