最近「ぬい撮り」が、ちょっとしたブームである。
「ぬい」を「脱い」と脳内変換して、焦っちゃった方は、ご安心を。「ぬい」は「ぬいぐるみ」の略で、ぬいぐるみを主人公にした写真のことだから。
昨年、タカラトミーアーツが専用のお人形「ちょっこりさん」シリーズを発売したあたりから、一躍ブームに火が付いた感じ。
この「ちょっこりさん」は、ディズニーやスターウォーズなどのキャラの人形で、身長は10cmくらい。一見、どこにでもありそうな人形なのだが、両手を前に出して、ちょこんと腰掛けたような体型が特徴。手にお菓子や花などを持たせることができて、ポーズも決めやすい。つまり、今流行りのインスタ映えする写真が撮りやすいわけである。
では実際、どのくらい多くの人が?というわけで、インスタグラムで「♯ぬい撮り」ハッシュタグがついた写真を数えてみると、約40万点もの投稿が見つかった。
先月、雪の鳥取砂丘に出掛けてぬい撮りしてきた同世代の友人は、ただの風景写真がイキイキしちゃって驚いたという。顔の角度を変えると人形の表情が変わるのが面白かったという。
彼女によると、ぬいぐるみを預かって旅に出るNPO法人もあるらしい。事情があって旅行に行けない人にとって、自分の分身であるぬいぐるみが旅を楽しんでいる写真は、きっと癒しになるのだ。何だか、目からウロコな話であった。
さて、ここまで書いて、わたしもぬい撮りに挑戦!「ちょっこりさん」は持っていないので、手持ちの人形を持参して、梅まつりたけなわの湯島天神へ。
ところがこれが、実に恥ずかしい。痛い人だと思われたらどうしよう?とビクビクして、人が通るたびに、人形を胸元に隠す。臆病な不審者そのもの。
そう。流行にのるためには、他人の視線に動じない勇気が必要なのだった。
=2018年3月9日掲載=