4月初め、乗り継ぎ待ちの時間を使って、郡山駅1階のジュースバーで、スムージーをすすっていると、気になるチラシが目についた。
それは郡山で開催される予定だったフルーツ講演会のチラシで、知的でやさしげなメガネ男子が微笑んでいた。
誰? と思って調べてみると、元東京大学の教員で、「体を張るフルーツ研究家」として、今メディアでも脚光を浴びている中野瑞樹先生、その人だった。
それ以来、気になっていたのだが、わたしもとうとう先週、都内で開かれた彼のトークライブに参加することができた。
元々、砂漠の緑化を研究していた中野先生は、フルーツが地球の砂漠化や食料難の解決に役立つと直感した。その後、フルーツだけを食べ続けた人がどうなるかを調べた研究がないことに気づき、大学を辞めて、フルーツ食の実験を始めた。
にわかには信じがたいが、この10年間、食べているのは、何と、フルーツだけ。肉、魚、米、パン、豆、芋はもちろん、根菜、茎菜、葉菜、さらには水や、お茶や、お酒さえ、一切、口にしてないのである。マジか。
そのくせ、血液データ、お通じ、頭の回転、すべてが良好。40代なのに、20代にしか見えない若さで、お肌もスベスベである。
とはいえ、「人間がタンパク質を摂らずに生きていけるの?」とは、誰もが疑問に思うところだろう。
そんな会場に、衝撃の事実が告げられた。あるテレビ番組が腸内を調べたところ、「空気中の窒素からタンパク質を合成するバクテリア」が発見されたのだという。
何と、先生はこの10年で、体内でタンパク質を作ることのできる、超人類に進化していたのである。
人間の適応力ってすごい!
進化ってすごい!
科学の進歩のために自らを捧げる情熱に、鳥肌が立ってしまった。
=2019年6月28日掲載=