仕事の打合せが思いがけなく早く片づき、日本橋の駅でメトロを待っていると、おしゃれな車両がすべり込んで来た。見ると、一枚の絵が車体に貼りついている。
彼女はたしか、以前は「ターバンを巻いた少女」と呼ばれていたはず。なぜか最近は(映画の影響か?)「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれ、オランダまで会いに行く名画鑑賞ツアーも盛況だと聞く。
その広告電車は、そんな人気少女の初来日を告げているのだった。
そこでわたしも、「ショウドウ買い」ならぬ「ショウドウ観賞」に走ることに…。
上野の美術館の入口に四十分並んだ後、展示室で、折り返されたロープの厳重な誘導のもと、ついにご対面。わずか数秒きりだが、たしかに、彼女の耳飾りの存在感はきわだっていた。
実はわたしも、パールピアスを愛用中。コレが意外にも、すっぴん、ジーンズ、なんでもこなす。面倒くさがりの女性におすすめの、マルチアイテムである。
さて、この夏、ロンドン五輪でも、真珠の耳飾りの少女が活躍した。ミッシー・フランクリン、十七才。水の抵抗もなんのその、大きなパールピアスを耳に、背泳二種目とリレー二種目で、合計四つの金メダルを獲得。
アートとスポーツの両翼で、パールピアスの少女たちが存在感を発揮する夏。ただ面倒くさがってコレを愛用しているわたしには、彼女たちの真珠パワーが、まぶしかった。
=2012年8月16日掲載=