先週の金曜日(4月1日)、仕事で、都心にある広告会社へ行った。
打合せの後、社内のカフェで雑談をしていると、入り口の方から「ゾロゾロ」という音がした。いや、実際はそんな音はしなかったのだが、見ると、30名ほどのスーツ姿の集団が、「前へ習え」的な距離感のまま、近づいてくる。入社式が済んだのだろう。ぎこちない彼らの姿に、思わず当時の自分を思い出してしまった。
新卒から10年ほど勤めた広告会社員時代は、仕事の割り振られ方の男女差など、悔しい経験もした。だが逆に、クリエイティブ室での仲間との毎日は、愉快な事だらけ。
毎週、誰かが買ってきた漫画雑誌、特にビッグコミックやスピリッツを回し読みして、大笑いし、熱く語り合ったのが、楽しい思い出である。
相原コージ、吉田戦車ら、ギャグ漫画が人気を集め、そういえば、今も続く「美味しんぼ」は、すでに連載が始まっていたっけ。
そんな漫画雑誌も、最近は、スマホでチラ見するだけ。気になった漫画は、今では単行本になってから読んでいる。
先日大人買いした「天智と天武〜新説・日本書紀〜」も連載中の作品だ。
わたしは第五巻の帯のコピーに度肝を抜かれてしまった。「集団的自衛権行使 賛成 反対」と書いてある。7世紀に、同盟国、百済救援のために、わが国が半島へ派兵し、唐・新羅連合軍と戦った「白村江の戦い」を、集団的自衛権の観点からとらえているのが、何とも新鮮。天智天皇を賛成派、弟の天武天皇を反対派と色付ける切り口も斬新。歴史認識を下地にして、今を考えるきっかけになるとも思った。
学校の教科書を手放してからが、本当の勉強。
時として漫画は、わたしたちの想像力の斜め上を行くイマジネーションを、与えてくれる。
=2016年4月5日掲載=