先日、仕事で訪問した会社の応接室で、久しぶりに懐かしい物と再会した。
質素な壁に掛かっていたその物とは、昔、どこの家でも、ちゃぶ台の後ろの大黒柱に鎮座していた、日めくり。そう。毎日1枚ずつ薄紙をピリッと破いて捨てていた、アレである。
気になってチラチラ眺めていると、日付の数字の右肩、「平成28年」の下に「昭和91年」という文字が。それを見て、日めくりには昭和の年号がよく似合うと、思った。
では、明治や大正なら何年なんだろう?
帰り道、スマホで調べてみると、今年は「大正105年」かつ「明治149年」とのこと。え〜っ、明治維新からたったの150年しかたってないの? 時代劇で見る幕末の大争乱は、さほど昔のことではないらしい…。
さて、話は変わるが、最近その懐かしい日めくりではない、別の日めくりカレンダーが、ブームを巻き起こしている。
100万部以上売れた、元テニス選手の松岡修造による「まいにち、修造!」がトップランナー。後を追うように、お笑いタレントや経営者、アスリートらの物が、続々と発売されている。
たいてい、1ページに言葉が1つ納まった、31日構成。月の最後まで行ったら、クルリと逆さまにして、1日からめくり始める仕組みなので、半永久的に使えるのが嬉しい。
修造の日めくりは、ポジティブな応援好きに人気。逆にノホホンとした言葉を好む人の間では、蛭子さんの物などが評判のようだ。
今の時代、朝一番に知りたいのは、曜日や大安などの情報ではない。むしろ、言葉の目覚ましに叩き起こされながら、1日を始めたいと願う人が多いのだろう。
実際、めくると、不思議に力が湧いてくるもの。
=2016年4月19日掲載=