ゴジラと言えば、松井秀喜。本家の怪獣には、本当はさほど思い入れがない。
とはいえ、大阪・心斎橋の貴金属店に、1億5000万円の純金ゴジラが飾られたというニュースには、耳をそば立てた。気になって映像を見ると、高さ20センチ余りのミニチュアサイズ。純金なのだから、当然か。
不満を口にしていると、六本木に、巨大な奴がいると教えられた。どうやら映画の宣伝で、今、日本中にゴジラが出現しているみたい。
行ってみると、こちらは高さ5、6メートルほど。下半身は広場の地中に埋まっていて、出ているのは上半身と尻尾だけ。見上げると、小山のような大ささ。ごつごつした質感。尻尾に一撃されたら吹っ飛びそう。そうそう、これがゴジラだ。
ほくそ笑んでいると、ゴジラなら日比谷にも昔からいると言う人が。乗り掛かった船と、さっそく見に行く。だがすぐには見つからない。
ウロウロしながら、あ!と気づいたのはカフェの裏側、ファーストフードの看板の前にある小さな台座。もしや、あれがゴジラ?
10年前、ゴジラ生誕50年の時からここにいたそうだが、一度も気づかなかった。お台場にぐ~んとそびえるガンダム像より、渋谷のハチ公よりも、とにかくず〜っと、小さな印象。
今はもう「大きいことはいいことだ!」と言う時代ではない。だがそれにしても何者にも適正なサイズというものがあるはず。
もし、ゴジラを、日本を代表するビッグ・スターとして扱うのなら、これはかなり失礼な感じである。
わたしは何だか寂しい気持ちになって、なぜ、もう少し大きく作ってもらわなかったの?と、そのちっぽけなゴジラに話し掛けた。
=2014年9月2日掲載=