タイで、フットサルのワールドカップが開催中。日本代表には、サッカーの三浦知良(カズ)選手が選出され、注目を集めた。
大会直前の先月末、ブラジルとの壮行試合を見に、東京・代々木第一体育館に足を運んだ。
本格的なフットサルは初めてだったが、室内競技特有のスピードと迫力に圧倒された。
「打て~!打て~!」と叫ぶわたしに、友人が「フットサルのゴールは打つんじゃなくて、流し込むんだよ」というのを聞いて、なるほどと思った。
その後、旭川でのウクライナ戦でカズは初ゴールを決め、タイの本大会で、チームはベスト16まで進出した。
最初に彼をじかに見たのは1986年、ブラジル・パラメイラスの一員として帰国し、ベンチ入りした試合。まだ十代だった。
それから19年後、シドニーFCの一員としてFIFAクラブ世界選手権に出場したときの彼も印象的だった。試合後、チームメイトに肩車され、照れながら場内を一周したのである。
ブラジル修行時代のラテン系リズムのなごりか、どこの国の、どのチームでも、カズは明るく笑い、まわりを笑顔にさせていた。
震災直後、岩手県を訪れてミニサッカーで遊んだとき、感想を聞かれた子供のひとりが「震災があったことを忘れるくらい、楽しかった」と答えていた。
それが、カズである。
=2012年11月15日掲載=