先日、仕事で知り会ったアメリカ人の女性と雑談をしていると、「こんまり」を知っているかと聞かれた。キョトンとしていると、「オカタヅケ〜」という。
ああ、近藤麻理恵さんのことか。確か10年くらい前に、「人生がときめく片づけの魔法」が国内のベストセラーになったよね。
彼女がどうしたの? と尋ねると、今ニューヨークで大ブームなの、という。
その夜、気になって調べてみると、世界190カ国以上で見られる動画配信サービス、ネットフリックスで、彼女の冠番組(全8話)が始まっていた。
なんと、書籍の方もすでに世界40カ国以上で翻訳され、1000万部超えの売れゆきだという。
今までも、辰巳渚さんの「捨てる!技術」、やましたひでこさんの「断捨離」など、様々な片づけ法が注目された。それは、日本の家が狭くて、皆が収納に困っているからだと思っていた。ところが、広い家に住むアメリカ人まで、片づけにハマるなんて!
興味をそそられ、スマホで番組を見てみると……。どの回も、通訳を連れた近藤さんが、片づけに悩むアメリカ人のお宅を訪ね →正座してお家にご挨拶 →片づけを手伝う →家族の悩みまで解決。そんな展開である。
ワンオペ育児、学生から社会人への成長、カップルの関係、遺品整理など、ストレスを抱えたアメリカ人たちが、「こんまりメソッド」によって、魔法のように救われていく。
モノを一つひとつ手に取り、触ったときにときめくか? を問いかけ、「ときめくモノは残し、ときめかないモノは捨てなさい」と説く彼女の姿はスピリチュアルで、さながら黒髪の巫女(みこ)のよう。
片づけという、テンションの上がらない家事に持ち込まれた「ときめき」という物差し。それが、国境を超えて、悩める人を救っているのだった。
=2019年2月8日掲載=