銀行の待ち時間にテレビを見ていると、ニュースの主役がアボカドだった。
昨年、日本に輸入されたアボカドはおよそ8万tで、過去最多。健康志向やコロナ禍による自炊熱の高まりから、10年前と比べると、一気に1.8倍に増えたのだという。
それを聞いてわたしはふーんと鼻白んだ。
その8万tのうち、ちゃんとお腹に収まったアボカドは、何万tあるのかしらね?
というのは、わたしにとってアボカドは、ほんとうは常温で1〜2日待てばいいだけなのに、ついつい冷蔵庫に入れて追熟させすぎ、食べ頃を逃してしまう食材の代表選手なのである。
見た目には変化がない。そこで油断しているうちに、果肉が泥みたいな黒色に変わってしまう。とても食べられたものではないと、泣き泣きゴミ箱へ……。好きなくせに、なんとも口に入りにくい食材なのだ。
と、ここまで原稿を書いてきて、書き間違いをしちゃったんじゃないかと、実はその点でもハラハラしている。
というのは、少し前、料理の話か何かで、ツイッターに「アボガド」と書いてしまった。すると、★アボガドじゃなくてアボカド★みたいなアカウントから「アボガドじゃなくてアボカドです。よろしく!」とリプが来て、驚いたことがあったのだ。アボカドには、熱烈マニアもついているのである。ちなみに英語ではavocado!
植物性脂肪の多さから、「森のバター」と呼ばれていることはよく知られているが、別名アリゲーター・ペア(ワニの梨)とも言われていて、そのまま和名はワニナシだそうだ。あのガチガチした果皮と色味がワニを想起させるのだろう。
ちょっとトラウマにさえなっているアボガド、じゃなかった、アボカド。
さあさあ食べ頃はいつなのか? それが問題だ。
=2021年10月8日掲載=