朝ランでも仕事でも、肌身離さずといえば、あの緑色のSuica(スイカ)カードである。「スマホで使えるモバイルスイカにすればいいのに?」とよく言われるが、過去に一度怖い目を見てから、モバイルスイカ恐怖症になった。
出張の日の朝、突然スマホの画面が真っ暗けになって、最寄駅の自動改札機に通せんぼを食らったのだ。おそらく夜中の充電をミスったんだろう。しまった現金がない。と、ジタバタあせって思い出したのが、いざという時のために隠し持っていた千円札だ。それをカバンの底から引っ張り出して紙のきっぷを購入。何とか目当ての飛行機に間に合ったが、夢でうなされそうな思いをしたことで、カード使いに戻ったというわけだ。
さて、6月の中旬、大手町駅の壁面に1枚のポスターが貼ってあった。「Suicaカード(無記名)の発売を一時中止します」とある。一大事じゃないか!
調べてみると、PASMO(パスモ)とともに、世界的な半導体不足の影響でICチップが入手困難になったためらしい。さらに8月には、記名タイプまでが発売中止に。
幸い、同様の事態は全国の交通系カードの中でスイカとパスモだけ。JR東海のTOICA(トイカ)やJR西日本のICOCA(イコカ)などの発売は通常通りみたい。
そういえば、以前、大阪から出張で来ていた取引先の人が「イコカはチャージ額が足りなくても、自動改札機を通してくれるが、スイカはチャージが足りないと入口でシャットアウトやっ!」とボヤいていた。
実はカードではなく、JR東と西の、そもそものシステムの違いが原因らしいのだが、彼は「イコカはスイカより人情があるねん!」と力説していたっけ。
かように人情味のないスイカだが、ひょっとしたら、これを機に、カードからモバイルに移行せよという魂胆なのか。スイカカードの運命や、いかに?
=2023年10月13日掲載=