7月13日午前5時過ぎ(日本時間)、ワールドカップブラジル大会が開幕した。
その瞬間、テレビに映る、ピッチを取り囲むアドボードの文字は、わがSONYのロゴだった。
わがって何?SONYは今や多国籍企業よ?と、自分で自分に突っ込みを入れながらも、日本の高度成長期に自身の成長期を重ねた世代は、こんな時、ついつい胸熱になってしまう。
ところで、アドボードの「SONY」の横にいる「4K」って、何だろう?
世界35億のサッカーファンを代表して、みんなの謎を解くぞ!の意気込みで、銀座のソニービルまで行ってみる。
聞けば、最上階のホールで「4K」の上映会をしているという。なるほど、大画面の映像とリアルな音が迫力満点。一人感心していると、中国の団体客が騒ぎ始めたので、すごすご退散。
その後、階下をうろついていると、ネームホルダーを首に下げた若男子が「上映会行かれました?」と声を掛けてきた。「ええ、すごい臨場感。ところで4Kって何の略ですか?4倍キレイとか?」と、聞いてみる。すると「あぁ、自分はテレビの担当ではないのでわからないんです」
え〜っ、ソニービルの人がわからないんじゃ、世界中の人がわからないよ!という言葉を、思わずグッと飲み込む。
と、察しのいい彼は「ええと…そう!よくパラパラ漫画に例えられます。ページが増えると精度が上がりますよね?それと同じです」
「できれば、例え話でなくて、知りたいんです」
「ですよね〜」神妙に目を伏せ、口をつぐむ青年。
またか…と思う。何も彼だけが特別なのではない。日常で、このような肩透かしや空回りが、ひんぱんに起きるようになったのは、一体いつの頃からだろう。
世界のサッカーファンを代表しての謎解きは、一筋縄では行かないのである。
=2014年7月15日掲載=