先週、仕事に行こうとして、ターミナル駅前を歩いていると、小さな「コスプレイヤー」たちが、交番で記念写真を撮っている。
そこにいるのは、身長1メートル超の、妖精や海賊、プリンセスやマリオや、かぼちゃマントたち。トイザらスとかドン・キホーテなどで仕入れたらしきコスプレの中に、ポツポツとハンドメイドの衣装も混じっている。
どうやら、ハロウィンの仮装をしたこの機会に、日頃からお世話になっているおまわりさんに、保育園の皆でお礼を言いましょう、という趣旨らしく、「おまわりさん、いつもありがとう!」という声が、ロータリー中に響き渡っている。
お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!と家々を回る、アメリカの風習の変化形なのかもしれない。
それにしても、この数年、国内のハロウィンの盛り上がりはすさまじい。経済効果でいえば、ホワイトデーはもちろん、バレンタインデーをも抜き去って、クリスマスを追い掛ける勢いらしい。
ハロウィンがズルいのは、「冬至にかぼちゃを食べると風邪を引かない」という日本の言い伝えと、このアイルランド発祥のイベントが、微妙にシンクロして見えてくるところ。カボチャという共通項だけで、うっかり、人間って世界中、考える事は同じね〜的な納得をしてしまいそうで、少し変な気持ち。
とはいえ、小さい頃から仮装を経験するのは、悪い事ではない。なぜなら、仮装って、自分ではない誰かになりきることだから。
小さなコスプレイヤーたちも、いつか人生に悩み事を持つ日が来るだろうが、そんな時、「自分ではない何者かになった記憶」が、心を締め付けている悩みから、彼らをフワリと救ってくれるに違いない。
そんなの、ずーっと何年も、先の話だろうけど。
=2015年11月3日掲載=