コロナ禍で家に閉じこもっている間に、頸椎(けいつい)ヘルニアになってしまった。ヘルニアっていうと腰椎(ようつい)の人が多いが、わたしのは首だ。
それでいて痛いのは、首ではなくて背中である。肩甲骨まわりが始終ズキズキ。左手の小指もしびれている。左腕を頭の上空に高くあげていると痛みが和らぐので、スキあらば一人挙手! みたいなポーズをとっている。
さすがにこれは変だと、病院でMRIの検査を受けると、頸椎をつなぐ椎間板が後方に飛び出していて、神経を圧迫している状態だという。
うむむ。テレワークでパソコンを長時間見つづけると「ストレートネック」になるから気をつけろ! と注意されていた。なのに、気をつける前に発症してしまったみたい。とりあえず、痛み止めを飲んだり、ストレッチをしたりしているが、あまり変化はない。
そんな中で、一番ありがたみを感じたのが、通販サイトで買い込んだ米国製の痛み止めクリーム。日本のものよりメンソールの配合量が多いのか、塗るとヒリヒリ皮膚が燃えさかって、元の痛みを忘れさせてくれる。集中したい仕事がある時にはこのクリームを塗りたくって、しのいでいる。
それにしても左の上半身にじわじわと広がる、あいまいな不快感は、なんとも不気味で、気持ちが悪い。ヘル・ニアと言う位だからHELL(地獄)・NEAR(近く)というわけか。と、この不気味さを現す英語のダジャレを思いついて、一人納得していたが、実は全く違っていた。
ヘルニアの英語は正しくは、HERNIA。臓器などが飛び出している状態を指すという。なるほど…。
語呂合わせも的外れで、テンションは下がったまま。一方、左腕は頭上高く上がったまま。
ヘルニア以前の(ついでにコロナ以前の)もろくも平穏だった日常を、恋しく思い出している。
=2021年5月28日掲載=