新年5日の夕方、名古屋で絶対にハズせない会合の予定があった。
須賀川の実家にいたわたしは、東北と東海道、2つの新幹線を乗り継いで、名古屋に向かうことにした。
人で埋まった郡山駅のホームに長々と並んでやまびこの5号車へ。デッキはもちろん、指定席の通路まで、立っている人ですし詰め状態である。
ようやく席に着いて特急券を見比べると、東京駅の乗り換えに6分しか余裕がない。この混雑の中? たったの6分? ヤバッ。
さらに、郡山の出発が遅れ、「在来線を待って、3分遅れで出発しました」というアナウンスがあった。残り3分で乗り換え? それはあまりにもスリリングだ。
だが、やまびこは、ガッツにあふれていた。その証拠に、那須の山々がみるみる後方へ飛び去って行く。
ならばわたしも応えよう。東海道新幹線への乗り換え階段のすぐ前に停車する8号車(グリーン車)のデッキまで移動するのだ。
席を立ち、リュックをお腹に背負って、宇都宮で下車する人の流れに乗る。車内を6号車まで移動。次に大宮で7号車まで移動。上野でついに、8号車のデッキにたどり着く。人混みの中では、他人をかき分けてはいけない。ただ、人の流れに乗るのである。
その後、上野を出発しようとした時、なぜかキキーッ!っと、急停車。安全確認に手間取って、さらに2分も遅れてしまったが、終点の東京まで何とか到着。
わたしはゲートが開いた競走馬のように走り出し……たりはせず、トトトと階段から、東海道新幹線の乗り換え口へ。
人と人の間にスペースを見つけてはサッと身体を入れる……という動きを繰り返しながら前進した。急ぐ時こそ落ち着けと、独り言をいいながら。
とうとう、いちばん奥の18番線へ。発車ベルは鳴っているが、ドアは開いている。滑り込む。間に合った!
手のひらは汗みどろ。心臓が口から飛び出しそう。
新年早々、これか……。2019年の運勢が心配になるほど、スリル満点な乗り換えだった。
=2019年1月11日掲載=