地球温暖化をにらんで、フランスが次々に繰り出す環境対策が、止まらない。
プラスチック製のレジ袋の使用禁止に続いて、先月には、世界で初めて!「プラスチック製の、使い捨て容器と食器を禁止する法律」を成立させた。かの国では、使い捨てのプラスチックのコップやスプーンは、もう使わないのである。施行は4年後。
この法律には、EU(欧州連合)の業界団体が、流通の自由に反するといって、猛反発。日本の論調でも、ちょっと極端すぎないか?という声が多いようだ。
中には、すべての食器を木や紙に替えたら、熱帯雨林の乱伐(らんばつ)がますます進むのでは?とか、フランスは、他にする事があるだろう。スタンドプレーなのでは?等と言う人も……。
環境という目に見えないものより、まず移民やイスラム過激派など、EU全体の問題を解決したら?と言いたいのだろう。
だが、待ったなしの気候変動の事を考えれば、どう見ても偉くないか?フランス! 新しい方策の「言い出しっぺ」になるには、先見の明と、勢いが要るというのに、胸のすく思いである。
この「言い出しっぺ」、昨年の朝ドラ「あさが来た」風に言えば、「ファースト・ペンギン」のことだろう。
トドやオットセイといった天敵に食べられてしまうかもしれない……。仲間が二の足を踏んで躊躇する中、誰よりも早く、冷たい海に飛び込む先頭のペンギン。
それがきっかけになって、他のペンギンたちも、次々に行動を起こすのである。
近くにいたら、ちとウザかったりするかもしれない、この「言い出しっぺ」。
だが、一目置かれ、尊敬される資格が、彼らには、あると思うのだ。
=2016年10月18日掲載=