先月二十四日の朝、磐梯山がうっすら雪化粧しているのが、麓(ふもと)の磐梯町から確認された…。そんな山便りをインターネットで知って、美しい季節の到来を予感した。
一方、富士山に初雪が降ったというニュースを聞いたのは、九月十二日。いまだ残暑の厳しかった頃である。
心の準備が整っていようがいまいが、見慣れた山の顔つきをガラリと変えてしまう初冠雪のニュースには、胸を躍らせるものがある。
この十月は、上旬・中旬・下旬と、九州で仕事があり、毎度、飛行機から、その富士山を定点観測することになった。
小さな水玉みたいだった積雪が、回を重ねるごとに着実に面積を広げていく。神々しい山頂を見るたびに、しぜんにおごそかな気持ちになった。
ままならないことの多い世の中である。人知を超えた力の前にひれ伏してしまいたい!そんな人間の欲求あっての、最近のパワースポット・ブーム(その代表選手が富士登山だ)なのかもしれない。
そして、そのような特別なスポットは、心に強く思うだけでも、ひとをエネルギーで満たしてくれるという。
実はわたしにも、パワースポット的存在がある。郡山市と須賀川市の境に立つ、七百メートルにも足りない独立峰、その名を宇津峰山(うつみねさん)という。
初冠雪のニュースは、まだ聞かない。
=2012年11月1日掲載=