先月、栃木と茨城で大きな竜巻被害が発生した。こんなことが日本で起きるなんて!と、驚いた。
子どものころ、ニュース映像で、アメリカ中西部の牛小屋や大型トレーラー、金属製のサイロなどが巨大竜巻(トルネード)に飲みこまれる光景をしばしば目にした。不気味な空気の渦は、悪魔の仕業のように思われた。日本にこんな恐ろしい災害がなくてよかった!と、胸をなでおろしたものである。
だが、いまになって、巨大竜巻までが、この国に猛威をふるう日が来てしまった。地球温暖化による異常気象かもしれないが、違和感のある出来事である。
そういえば、天災以外でも、似たようなことが起きている。
何年か前、自宅が空き巣被害にあったことがある。数ヵ月後、逮捕された犯人は、中国人二人と日本人二人の四人組。徒党を組んで住宅街を狙う、組織的な窃盗団一味だった。
犯人が捕まった池袋警察の大会議室の床に、彼らの戦利品が敷き詰められていた。盗まれた大量の腕時計やビデオカメラの山を眺めながら、まるで外国の話のような現実に、がく然とした。
気象や犯罪に限らず、多様化した危機の波が押し寄せている。
予測と備えが必要になっている。
だからこそ、起きてしまった出来事から目をそらしたくない。気を入れて、それらの一部始終が伝えてくるギリギリの言葉を、聴こうと思う。
=2012年6月7日掲載=