昨年末、宝島社から「このマンガがすごい!2022」のランキングが発表された。今回もオトコ編とオンナ編があって、オンナ編の第1位は『海が走るエンドロール』だった。
物語は、主人公のうみ子が久しぶりに映画館に行ったところから始まる。
上映中、スクリーンではなく、映画を観ている人の表情ばかり気にしているうみ子に声をかけてきたのは、海(カイ)という男の子。その後、うみ子の本質を見抜いた海は、自分も同じだと前置きしてこう言う。「うみ子さん、映画作りたい側なんじゃないの?」「そんな人間は死ぬ気で映画作ったほうがいいよ」
その言葉をきっかけに、うみ子は何と、海の通う美大の映像専攻学科に入学してしまう。
と、このようにストーリーを紹介していると10代のラブストーリーっぽいが、実はうみ子は65才。小さな葛藤はあれど、彼女にとって年齢は、映画を作りたい!という欲求の足かせにはならなかった。
ところで年齢といえば、世の中には名前の後ろに(数字)をつける習慣がまだまだ残っている。
ところが最近、(年齢非公表)と書かれる芸能人を時々目にするようになった。吉田羊さん(年齢非公表)とか、フワちゃん(年齢非公表)とか、そんな感じ。
おそらく本人側の要望なのだろうが、必要以上に年齢を意識しがちな世の中への抵抗のように思えて、胸のすく思い。
スポーツの世界でも、54才のカズ(三浦知良選手)が、出場機会を求めてチームを移籍するというニュースが流れている。
枯れない情熱を持つ人にとって、年齢はただの記号。
皆の名前の後ろから(数字)が消える世の中が、近づいているような気がする。
=2022年1月28日掲載=