先週、有明のビッグサイトで「東京おもちゃショー」が開かれた。約3万5000点のおもちゃを集めた国際見本市である。
初日は、報道関係者とバイヤーの入場日。わたしは打ち合わせがあって1階の会場の隅にいた。
1階とはいっても、四階までぶち抜きの大空間。開放感抜群ではある。
その時、同じ1階で進行中の、大手メーカーのステージの入りが悪いという噂が聞こえてきた。
そういえば、さきほど入場口で大量に見掛けた記者やカメラマンの姿が、ほとんど見られない。はは~ん、別の階で何かやっているなと気が付き、大急ぎで駆けつけてみた。
すると最上階の会場の特設ステージは、黒山の人だかり。かすかに見え隠れする人垣の向こうから聞こえてきたのは、あの映画「フラガール」の主題歌。
音楽に合わせて踊っているのは、五人のフラガールともう一人。なんと、あのお人形のリカちゃんと同じ顔をした、等身大のリカちゃんだった。
近くの会話に耳をダンボにしていると、七月上旬にT社から、フラガールの姿をしたお人形「ハワイアンズ・リカちゃん」が発売されることがわかった。
嬉しくなったわたしは「そのお人形、どこで作るんですか?」と、思わず、知らない人の商談に、首を突っ込んでしまう。
「顔は福島の工場です!ぜひ、見学に来てください」と、驚いて振り向いた知らない人が、爽やかに答えてくれた。
実は少女時代、わたしは、わが身に引き比べて瞳の大きすぎるリカちゃん人形が、苦手だった。
だが、その日「福島産のフラガールリカちゃん」というニュースに触れた瞬間、希望を秘めた瞳は、どれほど大きくてもいいと、思い直したのだった。
=2013年6月18日掲載=