受験シーズンになると一気に存在感の増す商品がある。たとえば、R-1ヨーグルトがそれだ。
去年の今頃、渋谷のスクランブル交差点を映すニュースを見るたび、わたしは首をかしげていた。交差点の背後に、「墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)」という巨大文字がはっきり映っていたからである。これ何だ?
現地まで行って見てみると、それは受験生に「受験勉強で覚えた語感のいい言葉」を尋ねたR-1の看板広告だった。この言葉を選んだ受験生の気持ちはわかったが、広告はちょっとひねりすぎかなと思った。
さて、今年も何か受験に関係する広告を打つのかしら? と思っていたら、偶然、R-1の広告貸し切り車両に乗り合わせた。今年は、受験生の親御さんに「受験当日の我が子にかけてあげたい言葉」を尋ねて、SNSで寄せられた答えを、大きな文字の中吊り広告にしていた。
その中からいくつかの応援をご紹介しよう。
「自分のポテンシャルをなめるなよっ」努力を間近に見て来た家族だからこそいえる二人三脚な言葉。
「緊張したらお母さんの一発ギャグを思い出して」どんなギャグなんだろう。いずれにしても明るい。
「とにかく全部埋めるように」これは実践的なアドバイス。残り時間がわずかになる前にこの言葉を思い出してほしいものである。
こうして見ていくと、いつの時代も家族の思いは同じみたい。特に今年はコロナ禍も重なって、親御さんの心配はどれほどだろう。
最後に「ガンバレ」を逆立ちさせた「バンガレ」という一言に、ついついクスッと笑ってしまった。リラックスこそ一番の味方。受験生の皆さん、肩の力を抜いて、バンガッてください。
=2022年2月11日掲載=