中学二年から高校三年までの五年間、福島市で過ごした。
バレーボールやカメラ、登山やロック…。いまでも好きなあれこれを、初めて好きになったのは、この時期のこと。
とくにハマったのが、マンガだ。夢中になったのが、雑誌連載中の「ベルサイユのばら」(略してベルばら)。
福島二中では、掃除の時間に、机を教室の後ろに寄せてモップを振り回し、女子みんなでベルばらごっこに熱中。毎度、担任からお目玉をくらった。
3・11以後、福島市と近郊の町で暮らしている当時の友だちのことを、よく考える。
けっして容易にはいかない震災後の状況を知らされるたび、事態の理不尽さに、唇(くちびる)をかむ。
先月、東京・銀座でベルばら大回顧展が開かれた。たくさんの原画が展示され、多年代の女性が詰めかけた。
「さらば!もろもろの古きくびきよ!」と、決然と言い放ち、貴族の身分を捨ててフランス革命に飛び込んでいく、主人公オスカル!
ままならない世の中だけど、おかしなことにはおかしいと言おう。惰性や欺まんにはノーと言おう。目標を定めたら、振り向かず、胸を張って生きていこう。
十代のわたしたちが、オスカルから受け取ったメッセージだ。
たとえどれほどの時間が流れようとも、まっすぐな思いは不変である。
=2012年10月18日掲載=