ある日のお昼時、乗換駅の大手町駅の地下通路を歩いていると、気になる店名の案内板が目についた。「実身美」~え、何て読むの? ミ・ミ・ミ? わけもわからず、身体によさそう~。
案内板の通りに進んで行くと、通路の行き止まり、明るいガラス張りのお店の前に、20人ほどの女性が行列を作っている。それが、15周年を迎えたという、玄米レストラン、「実身美(さんみ)・大手町店」だった。
ランチメニューは1択。1200円の食券を買って中に入ると、昔の小学校の木の教室を2つ繋げたみたいな雰囲気。待つこと数分。白いキャップに白い襟、姿勢のいい女性がにこやかに、ランチプレートを運んできてくれた。
プレートの上には、その日のメイン「鱈フライと旬野菜の豆乳ディルマヨソース(豆乳マヨは自家製)」、山盛りの生野菜サラダ、ふっかふかの玄米ご飯。
その横には「厚揚げとセロリのわさび醤油かけ」、「レンコンとかぶのクミントマト煮」、「手づくり卵豆腐(なめたけおろしのせ)」の小鉢が並び、具だくさんの味噌汁も付いてきた。
うまっ! そして、身体に沁みる! 今まで大手町駅で何1000回乗り換えたことだろう。だが、この店には気づかなかった。検索すると、実身美とは「実も、美味しさもある、身体にいいご飯」という意味らしい。
そういや、パリやロンドンには、想像以上に多くの玄米レストランがあると聞いている。マクロビ、オーガニック、ベジタリアン……。呼び名はいろいろ。だが、自然の力をまんま身体に取り入れようという考え方は同じ。
今は希少価値だが、これからは日本でも、野菜や玄米、酵素などにこだわるお店が増えていくのだろう。
頭の先からつま先まで、全身37兆個の細胞はすべて、食べたものだけで作られていのだから。
=2018年5月11日掲載=