先週、仕事の途中で六本木の東京ミッドタウンに立ち寄ったのは、新しいフルーツバーができたと友人に聞いたから。「なんちゃってベジタリアン」なわたしには、ありがたい情報だ。
開店祝いの花で飾られたフルーツバー&デリ「FRUITS IN LIFE」は、プラザB1、入口近くですぐ見つかった。店内のレジの前に、ソーシャル・ディスタンスを取ったお客の長い列ができている。
陳列棚のスロージュースに見覚えがあった。検索すると、出店元は郡山にある老舗のフルーツ専門店だという。それを知ったら、がぜん他人ごとではなくなった。この行列、せっかくなら店の外に並んでもらえば「行列のできる店」として認知されるのに…などと、おせっかい心が渦を巻く。
全粒粉フォカッチャの「アボカドトースト」にも惹かれたが、キウイやパインと野菜をライスペーパー(生春巻きの皮)でくるくるラップした「サラダバトン」とスムージーのセットを注文。
通路に面した1人席で食べはじめると、窓から次々に人の顔がのぞく。動物園のゴリラにでもなったみたいな心境だ。ウッホッホー。
視線の先は、わたしの口元。見たことのない食べ物に、誰もがしばし立ち止まり、値踏みしている様子。
ほら、みんな興味しんしんよ。誰か1人通路に出て試食をすすめるとか、割引券を配るとかしてみたら? 何だったら、暇なわたしが出る? ああっ、行っちゃった…などと気をもんでいるうちに、ランチ完食。
子どもの頃からフルーツに囲まれて育つ福島県民には想像しにくいことだが、日本人全体のフルーツ摂取量は多くない。世界平均はもちろん、アジア平均にも追いつかない。価格の高さと皮を剥く手間がネックになっているらしい。
六本木を通行中のみなさんも、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルいっぱいのフルーツを、もっと食べっぺ! この店から新しいフルーツごはんの冒険を、サクサク勇敢にはじめてみてほしい。
=2021年3月12日掲載=