アメリカ大統領選挙の決着はついたような、つかないような。
開票は終盤までもつれて、前評判や世論調査とはひと味違う展開になった。
だが数日たつと、一斉にバイデン当確が伝えられた。対岸から見ていると、アメリカの大手メディアの思惑どおりに事が進みすぎて、少しポカンとしてしまった。
そこで思い出したのだが、大学生の時、わたしも世論調査をしたことがある。
突然、日本の衆議院が解散したが、福島県内の大学が試験中で、学生バイトが集まらない。焦った全国紙の福島支局から、在京の学生にまで声がかかった。幸いわたしの大学は秋休み。往復の交通費も支給されたので、ホイホイっとその話にのって帰省した。
調査員は一人ずつ、アンケート用紙をバインダーにはさんで、無作為に抽出されたお宅を回った。わたしは郡山市の担当になった。スーツを着用する決まりで、緊張感もMAX。
忘れられない思い出がある。広い土間のある農家の主人から「なんでワシが、見知らぬアナタさ、本当の思い、言わねばならん? ◯◯党どでも、書いでおげばいいべ」と、キツい口調で言われた。
その時、直感した。世論調査は、やみくもに信じていいようなものではないのだと。人には答えたくない答えがある。さすがに今は、このような対面式の調査は行われていないだろうが。
さて大統領選挙。わたしの好きなアメリカの法廷ドラマ「グッドワイフ」では、投票箱のすりかえや開票用ソフトウエアの改ざんなどが、ひんぱんに行われる。そんなシーンを見慣れているので、仮にアメリカの選挙で何が起きていたとしても、まったく驚かない。
昔、カンボジアや東ティモールに選挙監視団を送ったように、民主主義諸国が一致団結して、アメリカに選挙監視団を派遣すべき時が来てたんじゃなかろうか。
=2020年11月13日掲載=