七月の頭だったか。福島民報のネットニュースで「荒川(福島市)9年連続、水質日本一!」という見出しを見た時、ちょっと驚いた。え、荒川が?そんなにきれいな川には見えなかったけど。うそでしょ……。
東京と埼玉を分ける、やたら幅の広い川。それが、わたしの「荒川」のイメージだった。だから、一瞬、勘違いしてしまったのだ。
事実は、関東平野と福島市に、同じ名前で、全く別の川があるということ。
福島市には、中学・高校の5年間住んでいたのに、わたしときたら、街を流れる川の名前さえ知らなかったってわけね。もっとも、当時、街の東に住んでいた中学生にとって、家から離れた川なんて、世界の果ての地名と同じだったのかもしれないけれど……。
思い出の琴線が揺れたタイミングで、福島二中の同窓会の知らせが舞い込んできた。お盆が終わる土曜日、福島市内のホテルにて。
当日、ホームに降りた瞬間、あまりの蒸し暑さに窒息しそうになった。うそでしょ……。だが、意を決して、盆地の夏へと躍り出る。
せっかくなので、信夫橋の手前まで行き、土手の上から「荒川(福島市)」を覗く。空の色を写したスカイブルー。この暑さで、魚のライズは確認できないが、夏草の間を流れる水は透みきっていて、川底の石の渦巻き模様までよく分かる。
そうこうする内に夕方になって、あの頃の悪ガキやお転婆たちと、再会した。
一人一人、顔は中学時代のままなのに、口を開くと、言葉は大人。それぞれが人生経験を背負っている。
フヤフヤしていた子が、驚くほど逞しくなり、何となくヒリヒリしていた子が、包み込むように優しくなった。
小川が大河になるように、誰もが中学生の狭い世界を飛び出し、広い視野を手にしたクラスメート。
遅々として止まっているように思えたあの頃の時間は、あっというまに流れ去っていた。うそでしょ……。
=2019年8月23日掲載=