先週、信州にある湯の丸高原まで散策に出かけた。
帰路、くねくねとしたカーブの続く道をクルマで下っていると、「ランナー注意」という立て看板が次々に現れた。
すると、坂道を駆け下りて行く4人の女子ランナーと、その後ろを追いかける1台の自転車が、パラパラと前方の車道に姿を現した。
おっと、あぶない!追い抜きざまに見えたひげ面の男性の顔は、メガホンこそ口に当ててはいないが、まさに鬼コーチの形相である。
きっと、大学か実業団の夏合宿ね。選手もコーチもご苦労さま!と思った瞬間、はたと気がついた。ひょっとしたら彼女たちは今、高地トレーニングをしているのではあるまいか?
スマホで調べてみると、湯の丸高原の標高は1700m以上。想像どおり、市(東御市)をあげてアスリートの誘致活動を推進していた。謳い文句は「日本屈指の高地トレーニングエリアを目指して」であった。
わたしたち一般ピープルにとって、高地トレーニングといえば米国コロラド州ボルダーが有名だ。有森裕子や高橋尚子らがオリンピックの前に合宿をした場所として知れ渡った。
空気の薄いところで体を慣らしておくと、本番のレースが楽になるという戦術は、科学の裏付けもあって、とってもクレバー。
検索しているうちに、同じ効果が期待できる低酸素ジムが、今や全国にたくさん作られていることもわかった。
ふ〜ん、なるほど。てことは、もしかしたら!
……心中深く、高地散策の成果を当てにしたわたしだったが、翌日の朝ランは、いつもどおりの、のろのろラン……。そんなに甘くはないのである。
=2022年8月26日掲載=