今年は秋が長いと思っていたら、今週のはじめ、いきなり都心の風景が一変した。
皆が、しめしあわせたように、服装を冬仕様にチェンジしたのである。薄いダウンベスト、古着みたいなグレンチェック柄の新品コート、中には本格的に厚手のダウンを着込んだ人まで。
おいおい急にどうした?
あ、そうか、そうだった。世の中はいつもこんな風に突然パッと変わるんだったと、思わず心の膝を打つ。
例をあげるなら、数年前のある日を境に、電車の中のベビーカーが急に増えた。あら、何があったの? と思っていたら、やっぱりその裏には理由があって、国交省が「公共交通機関の中で、ベビーカーはたたまなくてもよい」という新ルールを発表したことが、若いお母さんたちの背中を一気に押したようだ。
やはり数年前、その日に立ち寄ったすべてのコンビニのレジの店員が、揃いも揃って全員外国人。しかも、ちょいと面倒な宅配便の受付を完ぺきにこなしてくれた時も、心から驚いた。
だが実はこれにも理由はあって、コンビニ各社が、ベトナムから日本への留学を希望する学生に、あらかじめ母国でコンビニワークの研修を始めたことなどが、背景にあったらしい。
こう考えてみると、世の中で「急にどうした? 」と思うことの裏側には、必ず理由がある。一見、脈絡がないように見える変化も、実は地下水脈でつながっていたりする。
「急にどうした? 」と感じるのは、よくも悪くもじぶんが平和な第三者だってことなのかも。良い方に変わるならそれでも良いが、反対向きなら、ちとキケン。
季節も、そして世の中も、人々の喜びや悲しみを飲み込みながら、時折パッと大きく変身して、わたしたちを驚かす。
=2018年11月23日掲載=