東京2020をにらんでのことだろう。都営地下鉄の駅で「案内・警備ロボットの実証実験」が行われるというニュースが流れた。
それを聞いて、東京メトロ愛用派のわたしも、都営地下鉄にチェンジ。
ロボットとの出会いを心待ちにしていると、都庁前駅の改札外に、コート姿の男性がニコニコ顔で立っていた。その横に、子どもくらいの大きさの警官が液晶パネルに描かれた、iPadの10倍くらいの電子案内板が立っている。まさかこれがロボット? うへぇ〜。あまりのショボさにショックを隠せない。
その数日後、東京タワーに近い大門駅の通路を歩いていると、ツーっと動く、灰色の椅子を見掛けた。誰も座ってないのになぜ動く? と近づくと、これもまさかのロボットで、不審物を見つけると警備センターに通報するという。だがどう見ても、背もたれにディスプレイが付いた、ただのツーっと動く椅子……。
その翌日、上野御徒町駅で出会ったロボットには、アリサという名前があった。アリサは、観光客の質問を聞き取り、おしゃべりで道案内をする。顔はキュートで、身振りや表情も豊か。だが声は録音そのままみたいな感じで、ちと残念。
せっかく3体のロボットと会えたのに、心の中は何とも無念で、わびしさ満点。
2020まであと2年。大丈夫か、ニッポン?
米国、ボストン・ダイナミクスの二足歩行ロボットが、バク宙をしたり、雪道を走ったり、腕を伸ばしてドアを開けたりする映像を、最近ネットでよく見ていた。これと比べたら、大人と子ども? いや、生き物と機械ほどの違いがある。つまり、今回出会ったロボットは、一つも生きてないのである。
わたしたちは、ロボットに生命を感じたい。生命だけが持つ知能を感じたい。機械がただの機械のままでは、到底ロボットにはなりえないってこと。
さあ、あと2年で、このモヤモヤが晴れるのだろうか?
さすがにそれは、ムリかなぁ〜。
=2018年12月28日掲載=