1993年、ヤマハ発動機が世界に先がけて電動アシスト自転車を発売してから30年。一昨年の国内販売台数が、初めて一般の自転車を上回ったという。
しかしわたしは長い間、コイツにだけは手を出すまい! と固く心に誓ってきた。いち早くコレに手を染めたママ友のマリコさんの話が、ホラー映画さながらだったからである。
子供2人を連れてスーパーまで買い物に出た彼女。帰りに恐怖のバッテリー切れに遭遇。カゴに大量の食材、背中に0歳児。大泣きする3歳児を歩かせながら岩になった塊を押す。だが坂道で車体の重さに耐えきれず転倒し、手首を骨折。
そんな「行きはよいよい帰りは怖い話」がしつこく記憶に残って、ずっと自力走行タイプを愛用してきた。高校時代、福島市の腰浜町から信夫山の麓まで、毎朝、チャリをかっ飛ばした意地もある。
なのに、先日なぜか、魔が差した。アマゾンプライムセール。
モスグリーンの車体とマウンテンバイク特有の太いタイヤが輝いて見えた。バッテリー容量も余裕。海外製だが、日本のメーカー、シマノのギアが付いている。そこでポチッ。
翌日、やって来た自転車は、約20キロ。結構重い。機械オンチなわたしには組み立てが難しい。だが、家族のヘルプで何とか完成し、早速、いつものランニングコースの坂道に試乗に出かけた。
5段のアシストモード×7段の変速ギアを掛け合わせながら走行開始。上り坂は、確かに軽い。自転車を降りて押さなくても良い。だが、自動で走ってくれるわけではない。甘えるな! 漕ぎ続けろ! ロウ・アンド・ロウ♪ そんな歌が脳内でこだまする。軽いがゆえに、限りなく高速でペダルを回し続ける必要があるのだ。これって結構ヘビー。いつのまにか息が上がる。
ちょっと誇らしいのは、コイツは自転車の本分をわかってるってこと。
30年目の正直。さて、人馬一体はかなうのか?
=2024年9月27日掲載=