マウンテンバイクで暴走し、左足を骨折。いまだにギプス生活である。
心に明るく灯るのは、先日、通っている整形外科のMRI室に飾ってあった、日本ハム時代の大谷翔平選手のサインのきらめき…。
リハビリから家に帰るタクシーの運転手さんに、その一件を報告する。
すると、口調のやさしい運転手さんが「大谷はアメリカに行ってからも来てるんですよ。エンゼルス時代にこの病院で、肩の手術をしたんですよ」という。
え、確かにこの病院、スポーツ・リハビリの世界では かなり有名だとの噂。でもちょっと「?」な話でもある。そこでわたしは、その後も、タクシーに乗るたびに聞き込みを続けた。
すると、「2〜3年前、仲間が見たってさ。いやぁ、大きかったらしいよ」という運転手さんに遭遇。だが、その次に乗った運転手さんは、「そんなことありえませんよ。アメリカにはそちらの専属ドクターがいるでしょうし、日本で手術はしないでしょう。昔の話に尾ひれがついて、広まったんですね!」と断言。
実は今まで10人の運転手さんに話を振ったのだが、◯と×の比率はきっぱり5分5分。だがこうやって、渡米以降とされる大谷選手の印をコツコツ拾集していくような作業に、わたしの心は高鳴った。(事件は現場で起きている……)
その昔、大学でわたしは西洋史を専攻。いうなら「歴女」の端くれだ。どんな説を展開するにしろ、まずは証拠となる資料を集めることが大切だと教わった。
「歴女」とは、例えていえば、歴史の追っかけ。誰かが(何かが)そこにいたことのささやかな印を拾い集めて、真実に迫るのが使命。もっと例えるなら、歴女探偵。はたまた、眼光鋭い「歴女刑事(デカ)」!
ええ。大谷選手が渡米後、この病院に来たかどうかは、どっちでもオッケーです。口コミの拾集こそ、「歴女」の栄養。このネタは、実においしい。
=2024年12月13日掲載=