



先月、用事があって某県に滞在。蕎麦屋に行こうとして、県道の路肩をマウンテンバイクで激走していた。見ると、前方のコンビニの駐車場から一台のセダンが県道に出ようとしている。昼間なのに道路は渋滞。車は出るに出られず、ジリジリと停止中。
そこで、「先に行っちゃえ!」とばかり、ペダルを踏み込んだ瞬間、車の方もアクセルを踏み込み、ドンッと音がして2台は接触。
「え、こっちに気づいてなかったの?」激しく体勢を崩したわたしは、車の左前輪に右足の甲を轢かれながら、左足を突っかい棒にしてなんとか体を支える。「ひぃーっ!」タイヤが妙に大きく見える。これぞまさに『車輪の下』。ヘルマン・ヘッセだ。昔、夢中で読んだ世界の名作だ。
「すみません!」と降りてきたドライバーに「バックして!」と身振りで訴える。彼は慌てて運転席に駆け戻る。おかげで「うんしょ!」と、車輪の下から右足を引き抜くことができた。
その後、病院に担ぎ込まれて、左足腓骨(ひこつ)の骨折が判明。車に轢かれた方ではなく、体を支えた方の足が折れたのは驚きだったが、骨太なわたしにとって、人生初めての骨折となった。
それからは、松葉杖ならぬ登山用ステッキをついてヨチヨチ歩く日々である。
不思議なのは、夏の終わりに、ふと「筋トレ」という言葉が降りてきて、毎晩ウエイトを持ってスクワットをしていたこと。片足で立ち上がる時など、太ももが今までとは違う。助かった気がする。虫の知らせってわけでもないだろが。
先週からはリハビリも始まり、自宅近くの整形外科に転院した。足の写真を撮るため、撮影室の前で待っていると、壁に何人かのサインが飾ってある。11という数字が添えてあるサインをよく見ると、日本ハム・ファイターズ時代の大谷翔平選手のものである。
彼と同じ機械に入って同じ空気を吸えたことが、今回の事故から得られた「よかったこと」だ。
よくないよ!
=2024年11月22日掲載=

