



昨年秋に足を骨折。毎朝ベッドで、イジイジ天井を眺めるばかり。
朝ランに行きたい……。せめて早朝の冷たい外気を思いっきり吸いこみたい……。
そんな足止めが続いた年末の早朝。我慢たまらず、ギプスを付けた足で表に出て伸びをしていると、電柱に一羽のカラスが止まり「クワァクワァ・フググ」と鳴いた。反射的に「久しぶり〜!」と叫ぶわたし。それを見た通りがかりの若い男性が、自分に話しかけられたと思ったのか、ドン引きして立ちすくんだ。
その後も、レントゲンを撮ると「まだ骨折線が見えるね〜」との診断。だから、朝ランを再開できたのは、それからまたひと月ほど過ぎた先月のこと。
初日の朝、久しぶりに、高校の桜並木の坂道(ランニングコース)を上っていくと、頭上に1羽、2羽と、カラスが集まって来た。その数はみるみる増えて、あっという間に総勢10羽ほどになった。驚いて見上げていると、彼らは「ワァ〜ンワァ〜ン」と鳴きながら、旋回を始めた、描く円は、桜並木から高校の校舎、テニスコートの上空までクルクルと。でも、大声量を響かせるのは決まって、太い桜の古木の前に立つわたしの頭上。雄叫びは15分ほどつづいた。
その足で、住宅街の中の公園まで移動。屈伸をしていると、今度は大きいのがノソノソ1羽やって来て、街灯の上から、「クワァクワァ・フググ」と鳴いた。
鳥の言葉を研究している動物言語学者・鈴木俊貴さんによると、シジュウカラは彼らの言葉を話すそうだ。例えば、「ピーツピ・ヂヂヂヂ」は「警戒して、集まれ!」。他にも独自の表現がいくつもあるという。言葉を話す動物は、人間だけではないのである。
カラスの言葉をわたしは知らない。しかし、鳥からヒトへのはち切れんばかりの「おかえり〜」を、その朝、確かに受け取った!
=2025年3月14日掲載=

