日比谷公園の竜舌蘭(りゅうぜつらん)が開花したと聞いたので、立ち寄ることにした。中南米原産で、「センチュリー・プラント(1世紀に1度開花する植物)」の別名を持つ。こちらに植えられたのは、1960年前後だそう。
名前の由来は、葉っぱが竜の舌の形に似ているからだとか。1度開花すると1カ月ほど花が咲き、あとは枯れてしまうらしい。
さて、都会のオアシス日比谷公園は、灼熱の暑さ。強烈な日差しの下をヘロヘロになって歩いていくと、細く水を吹き出すペリカン噴水の横に、30人ほどの人だかりと、ニュ〜ンとそびえ立つ1本の茎が見えてきた。
巨大なアスパラガスのような竜舌蘭の茎には、トゲトゲがいっぱい。高さは7〜8メートル。ヒマラヤスギよりは低いが、車両用信号よりは高いといったところか。
集まった人たちは、遠巻きにして、スマホを掲げる。「高すぎクンや〜」なんて子供の声がする。皆、カメラに収まりきらない高さに苦心しているようだ。
肝心の花を観察すると、キラキラした蛍光イエロー。剥き出しになった雄しべと雌しべが、海の中でゆらゆら触手を揺らすイソギンチャクにも似ている。5月くらいから、いきなりニョキニョキ茎を伸ばして、開花の準備を始めたとのこと。
別の日のニュースだが、横浜市の環状2号線の中央分離帯にある竜舌蘭も、今まさに花を咲かせて大騒ぎになっているらしい。今夏の日差しと暑さで、開花スイッチが入ったのでは、という解説だった。
うぬぬ、まさか、地球時間が、駆け足になっているとか?はたまた、太陽フレアが関係しているとか?
1世紀に1度の花、竜舌蘭開花のサプライズを見物したことで、何だか心がザワつくわたし。
地球の時を刻むメトロノームのおもりの位置が、何かの拍子でズレちゃったというわけでもなかろうが。
=2024年7月26日掲載=