



最近、ネットの記事などで懐かしの家電(かでん)がよく紹介されている。昭和家電の魅力についてテレビで中学生が熱弁を振るう場面を見たりもする。昔の家電が、家族の距離が近かった「あの頃」にワープするツールとして、偏愛されているようだ。
中でも「National(以下ナショ)」のロゴはわかりやすい。松下電器が家電のロゴに「Panasonic(以下パナ)」を使い始めたのは、2007(平成19)年。てことは、前者のロゴがついていれば、結構なベテラン家電ってわけである。
さて先日、一人暮らしをしていた母の新盆のため須賀川の実家に帰ると、今さらながら、点在するナショのロゴが目についた。茶の間にナショのエアコン、台所にナショの炊飯器。浴室には、ナショ伝説の洗濯機「愛妻号」が稼働中。
改めて見渡すと、まるで「ナショの楽園」である。社名変更後のパナや新顔家電と肩を並べて、堂々と現役を張っている。さすがモノ持ちのいいわが実家だ。
その後、何気なく開けた茶だんすの奥に、初めて見るコレを発見。ナショ純正の「電化製品用クリーナー」。使いかけで、箱の中には、昭和なデザインの使用説明書まで。
いわく「今まで落ちなかったすべての汚れをとる合成化学洗剤として、専売特許を得たものです。ナショナル電化製品はこのクリーナーで清潔にお使いください。みちがえるほど光沢がでて、美しくなります。」なんともウブな良いコピー。
子どもの頃、新しい家電が一つ増えるたび、ささやかな幸せも一つ増えた気がした。家族が、ピカピカ光る家電の周りに集まった。
だがこのクリーナーのチューブは、いつかは知らねど、使いかけのまま茶だんすにポツンと取り残されてしまった。
つわものどもが夢のあと……。ちょっと違うか。
=2024年8月23日掲載=

