



先日、『小学校〜それは小さな社会〜』を見た。
もうすぐ一年生になる子どもが、自宅で給食の配膳やお返事の練習をする。そんな冒頭のシーンから、わたしはグズグズ……。同じ時間帯にシネスイッチ銀座にいた観客の方、うるさくしてごめんなさい。思いっきり涙腺を刺激されてしまったのである。なぜこんなに泣けちゃったのか?
帰りの電車でその理由を考えているうちに、ふと思いついて、スマホを使ってAIのチャットGPTに「感動する映画の3要素を教えて!」と聞いてみた。すると……
1、主役(観客を物語に引き込む魔法使い)。
2、ピンチ(観客の心臓がバクバク)。
3、カタルシス(スッキリする解決や感動)
とのこと。
ふむむ。そういう意味では、くだんの映画には、この3つの要素の何もなかったな。起承転結も、敵役もなく、スクリーンに映し出されるのは、かつて自分も一員だった、ありふれた公立小学校の一年間。
昇降口、担任の先生、給食当番、教室掃除、黒板消し、校内放送、縄跳び、林間学校、卒業式、新入生歓迎の合奏……。
コロナ禍という非日常要素は確かにある。だが、この映画は、精緻な撮影術で丹念に切り取られた、わたしたち日本人が世代から世代へと手渡す「社会のルール」の記録である。
繰り返される「自分より、みんなのことを考える」という教えが、この子たちの足枷になることもあるかもしれない。だから、「日本の教育こそ最高!」などと浮かれようとは思わない。しかし、涙とともにあふれ出す「ここのシーン、わかるぅ〜!」という思いは、心の本音。
わたしたち日本人の強みも弱みも、この美しい場所=小学校が作ったんだ。その事実に胸を突かれた。
=2025年2月14日掲載=

