先日、2900円で、金髪のウィッグを買った。
手持ちのウィッグは、実はふたつめ。最初に手にしたのは、5年ほど前に、仕事で担当した広告で使用したやつだ。
出演者はデヴィ夫人だったのだが、撮影終了後「ワタクシ、もう必要ありませんから、あーた、いかが?」と夫人が言ってくださったので、面白半分でいただいたのである。
それまで、ウィッグというものに触れたことがなかったので、うまく使いこなせる自信はなかった。だが、さすが、目利きのスタイリストさんが選んだ10万円以上する高級品。毛並みもよく、頭にもぴたりとフィット。推しバンド(CHARAMEL)の香港ライブにはこの金髪で参戦し、黒髪だらけのアリーナに花を添えたものである。
そんな高価なウィッグを持っているのに、なぜ、もうひとつ? といえば、最初の金髪はボブカットだったのだが、こちらのウィッグはボーイッシュなショート。スマホに広告写真が流れてきた瞬間に、かっこいい! と、喉から手が出てしまったのだ。しかも2900円。ウソでしょ?
さて、購入の翌日、すぐに届いたパツキン2号は、値段に似合わず好印象。口コミを見ると「控えめにいっても、最高!」「誰からも地毛だと思われる」「どの角度から見ても可愛い」などと書かれていたのだが、全く同感だった。
今後の耐久性については要観察であるが、今のところ、大満足である。
面白いのは、このウィッグで街に出て行くと、ちょっとしたことが、いつもと違う。駅員さん、店員さん、すれ違う人たちの肩から力が抜けて、タメ口(ぐち)でフレンドリーな雰囲気になる。何ともこそばゆいこの感じ、悪くない。早い話が、若く見えちゃうらしいのだ。おそらく一回り以上も。
だが、電車で前の席が空いた時、ついついわれ先に座ろうとしたら、隣に立っていた中年の人に思いっきり、睨みつけられてしまった。大失敗!
=2024年4月12日掲載=